東京都青山ファーマーズ・マーケットで生姜を販売していると、
生姜の保存方法についての質問をお客様から多く受けます。生姜を冷蔵庫の野菜室で保存される方があまり
に多くいらっしゃることにビックリします。
「生姜は日持ちしない」「野菜室でカビさせてしまう」「使う前にダメにしてしまう」などなど、生姜の保存
に多くの方が苦労されているようです。良質の生姜は、環境さえ整えば一年でも二年でも保存できる作物です。
日持ちしないような生姜は、本来流通しない方が良いというのが私の考えです。
とは言え、保存環境が悪いと、どんなに良い生姜でも腐ってしまうので、ここでは一般のご家庭でできる保存
方法をご案内します。その前に先ず、生姜という農作物の基本的な特徴をご案内します。
生姜は寒さに弱い
生姜は亜熱帯気候で育つ植物です。基本的に寒さに弱いです。平均14度以下の環境が長く続くと弱って腐ります。
白カビなどが発生する場合は、保存場所が寒いという事です。
乾燥に弱い生姜
生姜は乾燥に弱いですので、適度な保湿が必要です。乾燥すると、生姜の水分が抜けていき、徐々にしわしわになり、
最後は干物のようになります。
生姜は生きている
一般的に流通している生姜の多くは「囲い生姜」といい、収穫した後、二カ月以上専用の保存庫で熟成させて生姜です。
通常、これらの生姜は生きており、翌年度の種生姜になします。故に、春が地下ずくに連れ温度が上がってくると、芽
を出します。芽が出るという事は良い生姜の証拠ですので、栄養価も高いと言えるでしょう。
出た芽は「芽生姜」と言って食べる事が出来ます。
【生姜の保存環境】
適温 | 14-15度 |
場所 | 直射日光が当たらず、空気が適度の循環するところ。 |
保存方法(常温) |
ある程度の期間であれば、そのまま台所に置いていても問題ありませんが、長期間保存する場合は、
湿った新聞紙やキッチンペーパーなどに包み通気性のある袋にいれて、適温場所で保管してください。
14度以下が長く続く場合や室内で暖房を利かす場合などは、厚めに新聞紙に包んで発泡スチロールや
段ボールに入れるなど、外気の影響を受けないように保存してください。
*直ぐに手の届くところで保存することで、頻繁に使うように心がけます。 |
保存方法(冷凍) |
擦りおろし、千切り、みじん切り、スライスなどにして、一回の使用想定量ごとにサランラップもしくは、
ジッパービニール袋に薄く入れて、冷凍します。使うときは必要量を割って使います。
一コブづつ割り、洗ってまるごと冷凍します。使うときは、解凍せずにそのまま擦りおろして使います。
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保存方法(乾燥) |
洗った生姜を皮ごとスライスして乾燥させます。常温で保存できます。
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良い生姜の見分け方
生姜の良し悪しは大きさではありません。一見大きくで良い生姜に見えても、化学肥料や有機肥料の入れ過ぎで、水太り
した生姜は日持ちも悪く、思いのほか早く腐ってしまうことが多くあります。とは言え「腐る生姜=化学肥料、有機肥料栽培」
というわけではありません。
本来、健康な生姜であれば、裸でほったらかしにした場合、乾燥してミイラのようになります。
何かしらの不具合があるから腐るのです。私の経験上、自然栽培や有機栽培で真面目に作られた生姜は、比較的持ちが良いです。
有機栽培の場合はどのような堆肥を畑に入れているか、また、圃場設計がちゃんと出来ているかで育つ生姜の質が変わるでしょう。
自然栽培の場合は、圃場の栽培履歴と圃場設計によって育つ生姜の質が変わってます。
化学肥料で育った生姜や、有機肥料の入れ過ぎで育つ生姜は、日持ちが悪くなる傾向にあります。
生産者としては「生姜は日持ちしない」と消費者に思われないような良い生姜を作る努力をする事が大切だと考えています。
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